生活習慣病とその対策
                      バランス健康会 小林 ォ

その5 対策編

対策編

前回までは、戦後急速に蔓延、慢性化し、
社会問題にまでなってきた生活習慣病の原因を私なりに分析し、
その原始原因は戦後の生活環境の急速な近代化に因る骨格変位、
特に骨盤の歪みに集約され、
個人の姿勢癖として発現していると云う拙論を述べて参りました。

今回はその対策を二三の具体的な事例を紹介しながら
述べてみたいと思います。

[臨床事例 その1]

神奈川県葉山町在住のA子さん(平成10年当時38才)は、
3人の子供とご主人の5人家族、
葉山の有名な蕎麦屋(御用邸御用達とか)にお勤めの主婦。

蕎麦屋でのお仕事は、
天麩羅用の重い油缶の持ち運びや、土間での立ち仕事が主で、
前任者は皆腰を痛めて辞めている。

A
子さんも6ヶ月ほど前から腰を痛め、
近所の整形外科や治療院に通いながら頑張って来ましたが、
余りの辛さに知人を介して診て欲しいと要請がありました。

本人は部屋の中を歩くのもやっとという感じで、顔色は青白く、鬱症。

早速、骨格の変位状態をチェックしてみると、
左脚
2p短く、骨盤左上がりの左肩下がり、
左足体重姿勢の典型的なパターンと判明。
仰向けには痛くて寝られないと云うので、
俯せの“膝曲げ引き上げ”を3回施術、この間約2分。
起き上がらせ、歩いてもらう。
本人・・・“とても楽、嘘のよう”。
更に骨盤の調整と“ねじり操法”を試み、
完全に歪みの解消を確認して室内を歩かせる。
その間約5分、明らかに本人の顔色は赤みをおび、笑顔になっている。
一番下の娘は母親の首に飛びつき、大騒ぎ。
母親が元気な時はいつも首に飛びつき甘えていたが、
腰を痛めてからはそれが出来ずに我慢をしていたらしい。

A
子さんも子供をガッチリと受け止め、腰がなんでも無いので、
“魔法にかかったみたい”とびっくり。

2〜3日は無理をせず、
朝晩の自己調整体操をするよう指示し、
次週の休日の再訪を約束して帰える。
休日の前夜、確認電話を入れると、
都合が悪いので1日延ばして欲しいとのこと。

訳を聞くと、その日は前々から楽しみにしていた町内会のバス旅行日で、
腰は痛くないので是非参加したいと云う。
“バスはまだ無理”と止めるも本人の意思に任せ、再訪してみた。
本人はいとも元気で朗らか、今までの鬱症はどこえやら、
家の中全体が明るく、子供達も皆嬉しそう。
バス旅行は腰の痛みもなく楽しかったとのこと。

念のため、歪みチェックをしたが全て正常。
それ以来、今日に至る間、
3年後に1回だけ診て欲しいと要請があったのみで、
現在も元気に働いておられます。

この事例では、病気発症の過程における
第一段階から第二段階の後半に入ったケースとして考えられ、
年齢的にも若く、
症状が単純な骨盤の歪みによる痛みだけに留まっていたので
簡単に解消できましたが、
ご縁が無く、当初の治療を続けていれば、
仕事は辞めざるを得なかったであろうし、
その後の人生がどのようになったか想像も付きません。

「おかげさまで元気に働いております」の毎年の年賀状を見るたびに、
良かった、良かったと安堵しております。

[臨床事例 その2]

事例その1のA子さんの子供が通っている横須賀在住の学習塾経営、
B子先生(平成10年当時52才)

3年前に病気でご主人を亡くし、
その看護疲れとストレスが溜まり、
一般に云う更年期障害的な症状となる。
住まいが高台にあり、下から階段で上がるため、腰痛が発現し、
段々と歩けなくなり、半年前に
横須賀市内のS病院に約2ヶ月程入院する。
退院後も症状は変わらず、
鬱症に不眠が加わり、多くの薬を飲んでいる。
朝夕の犬の散歩も思うように出来なくなり、
子供達の教室も休みがちとなる。

A子さんの子供が自分の母親の良くなった姿を思い出し、
母親に相談、私に要請電話があった。

B子先生は中肉中背、
本来ならば身のこなしは軽いはずであるが、
膝の痛みと
50過ぎての2ヶ月に及ぶ入院生活は、
筋力、特に脚の筋力を衰えさせる結果となっており、
そろり、そろりと病人歩き。
入院生活も特に改善されたと云う自覚も無いまま、退院したため、
全てに自信を無くし、
何か大変な病気にでもなっているのでは無いかと
一種の妄想まで持つようになっている。

早速、骨盤のチェックをしてみる。
右脚
1.5p短く、骨盤右上がりの、右肩下がり、
右足体重姿勢、胃下垂、極度の冷え症ありと判明。

一連の骨盤調整を施術、約10分。
痛み止めや睡眠薬等服用しているため、快、不快の反応が鈍い。
膝の痛みは消え、歩いても痛みを感じなくなる。
然し、立ちしゃがみは筋力減退のためと、
出来ないと云う思い込みと痛みの恐怖心からうまく出来ない。
テーブルや椅子に上体を託して、
無理をせず、毎日練習するよう指示。
膝関節は年齢的にも軟骨の摩耗が考えられるので、
コラーゲン、コンドロイチン含有の健康食品の摂取を薦めた。

一週間後のチェックでは骨盤は5o程戻っていた。
再度完全調整し、朝晩の簡単な自己調整体操を教え、
肉体よりも精神的な面が大きいので、
その改善策としてイメージ療法と食べ物の改善を指示。
その後は、犬との散歩も楽になり、
子供達の教室も休むことなく元気とのことです。

この事例は病気発症の過程における
第三段階から第四段階寸前のケースとして考えられる。
更年期症状が悪化し、不眠症が酷くなり、
また入院でもすれば、下肢の筋力は益々衰え、
やがては車椅子の別の人生を送る結果になっていたかも知れません。

対症療法も不十分で、
その根本原因にまで辿り着けない現代医療の無力さを感じます。
多くの女性の方々が更年期障害で悩んでおられますが、
どうか医療のみに頼らず、
ご自分の生活習慣を見直し、
骨盤の歪みに気づき、改善してみて欲しいと思います。
骨盤の歪みが脊椎を歪め、自律神経を圧迫し、
ホルモン系統を異常にしているだけです。

医療とは別に各自が出来る改善法(健康法と呼ぶべきか?)
の普及の必要性を痛感します。


(次回に続く)

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