トレーナーからの健康生活 全5部
  第5部 「体をつくるために」
        ナビスポーツアカデミー代表 スポーツトレーナー 櫻井優司氏


 活性酸素〜病気の90%が活性酸素が原因〜

1. 活性酸素とは?
 酸素の中でも特に酸化力が強い酸素を活性酸素といいます。
 身近なところにある活性酸素は、
 オキシドールや除草剤のパラコートなどです。
 オキシドール(薄い過酸化水素水)は傷口の消毒に使われます。
 傷口にオキシドールをつけると、ブクブクと泡が出てきます。
 オキシドールから発生した活性酸素が傷口のばい菌を殺し、
 その後普通の酸素に戻ったものが、傷口から出てくる泡の正体です。
 オキシドールはこのようにしてばい菌を殺しますが、
 同時にその周辺にある正常な細胞をも活性酸素で殺してしまう、
 両刀の剣のような働きをしています。
 そのため最近ではほとんど使われなくなってしまいます。
 除草剤のパラコートには、
 植物の体内に大量の活性酸素を発生させる物質が含まれています。
 あまりにも大量の活性酸素が発生するため、
 パラコートを撒いた翌日にはほとんどの植物が枯れてしまいます。
 これを人間が誤って吸い込んでしまった場合は、ほぼ100%死亡しています。

 人間は1分間に数十回呼吸をし、酸素を体内に取り込んでいます。
 通常の酸素は図のように原子の周りに8個の電子をもっています。
 それぞれの電子は2つで1つのペアを作り
 三重項酸素という安定した形で存在します。
 しかし、何らかの原因で電子のペアが崩れると、
 酸素は活性酸素化します。
 通常の呼吸で体内に取り込まれた酸素の約3%が活性酸素になります。

 活性酸素は、ペアになっていない電子を持っているため、
 非常に不安定な状態になります。
 この状態の酸素は、
 自らを安定させるため身近にあるところから電子を奪い安定(酸化)使用とします。
 そして、活性酸素によって電子を奪われた物質は、
 また自分の手近にある物質から電子を奪います。
 これは例えるなら「駅前に止めておいた自転車を盗まれた人が、
 ほかの人の自転車を盗む。
 その盗まれた人がさらに他の人の自転車を盗むというようにして、
 町全体が自転車泥棒だらけになっていく」というようなことです。

◆活性酸素により細胞内のDNAの制ガン遺伝子が破壊され、細胞がガン化する。

◆細胞膜の脂肪酸が酸化され、過酸化脂質になる。
 この過酸化脂質の増加が血管系の病気の原因となります

2.活性酸素の発生原因
  通常呼吸で取り込まれた酸素のうち3%ほどは、活性酸素化します。
 例えば、ネズミの細胞1個で、
 毎日平均1兆個の酸素が消費され、
 そのうちの3%(約300億個)が活性酸素になります。
 通常活性酸素の発生率が3%くらいであれば体内にある、
 活性酸素を消去する物質(抗酸化剤)によって中和されるのですが、
 さまざまな原因により体内で活性酸素が大量発生することが有ります。
 活性酸素の発生原因は、

   (1)自分自身の問題
     ・ストレスを感じたとき(最大の活性酸素の原因)
     ・タバコを吸ったとき
     ・アルコールを飲んだとき
     ・スポーツや激しい運動などで、酸素の消費量が増えたとき
   (2)環境の問題
     ・電磁波を浴びたとき(最大の活性酸素の発生原因)
     ・紫外線を浴びたとき
     ・医薬品、食品添加物、制ガン剤などの化学物質が入ったとき
     ・病原菌が入ったとき
     ・レントゲンなどで放射線を浴びたとき
     ・工場の有毒ガスや車の排気ガスを吸ったとき

3.活性酸素が原因の病気

  ガン、心疾患、糖尿病などの生活習慣病は、
 以前は遺伝や家系などと言われてきましたが、
 現在では生活習慣病(旧成人病)の90%が活性酸素が原因だということが
 分かってきました。

  1994年5月22日朝日新聞
     「活性酸素の発ガン関与、人体でも確認。
     国立ガンセンターと産業医科大学は、
     活性酸素がガン抑制遺伝子などに突然変異を起こし、
     発ガンの引き金になっている可能性の高いことを、
     人体組織の研究で突き止めた」と報道しました。
 病気の原因の残り10%はウィルスなどによって引き起こされる病気です。
 ですからほとんどの病気の原因が
 活性酸素が関係しているということができます。

 活性酸素が関与している病気
  ガン、心筋梗塞、脳卒中、動脈硬化、糖尿病、老化、
 白内障、リウマチ、膠原病、農薬中毒、歯周病、てんかん、
 放射線障害、アトピー性皮膚炎、胃・十二指腸潰瘍、
 パーキンソン病、脂肪肝、小児喘息、腎臓炎、子宮筋腫、
 生理不順、花粉症、川崎病、インポテンス、アルツハイマー痴呆症、
 神経痛、痛風など200種以上の病気。。。
(1)ガン発生の仕組み
 人間の遺伝子(DNA)には、
 細胞がガン化するのを食い止めるための制ガン遺伝子が有ります。
 活性酸素によってDNA内の制ガン遺伝子が破壊されると、
 細胞のガン化が起ります。

 ガン細胞は普通の細胞とは違い寿命がなく、
 多くの栄養分を消費する化け物細胞です。

 これは長期間活性酸素による攻撃を受けると
 発生する確率が高くなります。
 厚生省研究班(1995年10月12日発表)に夜と、
 2000年に新たにガンと診断される人の数は
 1990年の約1.5倍の59万2千5百人にもなりそうだとのことです。
 これは1991年の20%増であり、
 しかも、肝臓ガン、肺ガンなどの治りにくいガンの割合が
 増えるもようということです。

(2)過酸化脂質
  新鮮なバターはうすい黄色をしていますが、
 古くなってくるときつい黄色になりボロボロの状態になります。
 過酸化脂質とは、「変質したバターのような脂肪」と考えられます。
 本来は、「普通の脂肪」であったバターが、
 酸素によって酸化され過酸化脂質という「危険な脂肪」に変化したのです。
 体内にはコレストロールや中性脂肪という脂があります。
 これらは、人体の機能を維持していく上で必要不可欠なものです。
 そしてこれらは、酸化されていない状態では
 血管をふさぐなどの害を及ぼすことはまったく有りません。
 しかし、これらの脂が活性酸素によって酸化されると、
 過酸化脂質に変化します。この過酸化脂質が、
 血管壁につき、しだいに壁の中に入り込み、
 徐々に血管をもろくしたり、血管をふさいだりします。
 心筋梗塞、脳梗塞、動脈効果、脳卒中、血栓等

4.活性酸素を除去する為には?
 体内に余分に発生した活性酸素を消し去り、
 老化や様々な病気を抑えてくれるのが抗酸化物質です。
 私たちの体の中にも抗酸化物質は存在します。
 しかし、体内に生じる抗酸化物質だけでは
 活性酸素を消し去るのに十分ではありません。

 抗酸化物質とは?
   地球上で最も多く活性酸素の影響を受けているのは植物です。
  植物は日の出から日没まで紫外線を浴び続けています。
  このため植物の体内には大量の活性酸素が発生し、
  日々活性酸素と戦っています。
  もし植物が活性酸素に負けてしまうと、
  枯れてしまいます。
  ですから、植物の中には活性酸素を消す物質
  「抗酸化物質」が大量に存在します。
  また、それぞれの植物が活性酸素を消すために
  独自に発達させてきたものが、
  第7の栄養素といわれる「植物栄養素」です。
  抗酸化物質とは「細胞が酸化するのを防ぐ」物質で、
  以下のようなものが有ります。
    ◆酸素(分子量30,000以上)
     酵素は体内では、たんぱく質とミネラルから合成されます。
     ビタミンよりも形が大きくより複雑な物質です。
     抗酸化酵素は次の3種類です。
     ・SOD(スーパー・オキサイド・ディスムターゼ)
     ・グルタチオンペルオキシダーゼ(GSH−Px)
     ・カタラーゼ
      この3種類の酵素が関連しあって活性酸素を消去し定期ます。
     これら抗酸化酵素を作る為には、
     亜鉛、銅、鉄、マンガン、セレニウム、の5種類のミネラルに加え、
     酵素やたんぱく質が必要になります。
     体内にこれらの抗酸化酵素の原材料が十分にないと、
     体は抗酸化酵素を作ることができなくなります。
     また加齢により抗酸化酵素の生産量が低下します。
     特に中年以降になると、SODが低下し、
     主に脳や心臓、肝臓で著しく低下してしまいます。

   ◆ビタミン(分子量200〜400)
     ビタミンA(ベータカロチン)、ビタミンC、ビタミンE、葉酸は
    抗酸化物質として働きます。
    これら抗酸化ビタミンは、体内では合成できないので、
    毎日絶やすことなく食事などから補給し続けることが大切です。
    脂溶性のビタミンEは細胞膜の抗酸化に、
    水溶性のビタミンCは水分が多い細胞質の抗酸化に働きます。
    抗酸化ビタミンは、直接SODで消去できない
    ハイドロキシラジカル、一重項酸素、過酸化脂質などの
    活性酸素を消去する働きをします。

   ◆植物栄養素
    ・アンソシアニン
     バイオフラボノイドの一種で、非常に高い抗酸化作用があります。
     以前はカナダのセントローレンスや
     ヨーロッパの沿岸沿いに生えている松の樹皮から抽出されていましたが、
     最近の研究によりぶどうの皮と種から抽出したものの方が
     効果が高いことが分かってきました。
     最近赤ワインが体に良いと大きな話題になりました。
     それはワインの原材料に含まれているアンソシアニンが
     高い抗酸化力を持っているからです。
     アンソシアニンの特徴は以下の3つあります。
     ★ビタミンC、ビタミンEと同時に摂取すると、
      ビタミンC、Eが3日間血中に滞在できるようになる。
     ★抗酸化酵素であるグルタチオンサイクルを活性化する
     ★通常の抗酸化物質と違い脳内関門を通過できる。
       これにより脳内の抗酸化も行える。
   ・リコピン
     1994年10月ベルリンでの栄養学会議で
     「トマトの皮から抽出されるリコピンは、
     ベーターカロチンによりも10倍も強力な抗酸化剤である」
     と発表されました

5、抗酸化物質を摂取するためには?
  体内で発生する活性酸素を消去するためには、
  最低限、亜鉛、銅、鉄、マンガン、セレニウムなどのミネラル5種類。
  ビタミンA、C、E、葉酸のビタミン4種類が必要です。
  以前と比べて野菜の栄養価が激減し、
  かつ活性酸素の発生量は確実に増えています。
  健康を維持していくために必要な抗酸化物質は
  食べ物からだけでは必要量が摂れないのが現実です。
  もし、健康を維持したいと考えているのであれば
  サプリメントを摂ることを強くお勧めします。
  サプリメントといっても本当に効果のあるものから、
  逆に摂ることによって害になってしまうようなものまで様々です。
  本当に効果のあるサプリメントを正しく選ぶことが重要です。





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