すべての選手は、試合に参加したい、ゲームに参加したい、
競争に参加したいということでスタートしています。
なぜか。人間の体、人間というのは競争する、競い合う、
戦い合うということで鍛えられていきます。
負ける悔しさ、つらさを知っている人のほうが精神構造は強くなります。
一度も負けたことがない、一度も怒られたことがない、
いい子、いい子、いつでもいい子だよと言われている人は、
1回つまずくとゴロゴロゴロゴロ、
二度と立ち上がれなくなる。
何度も何度も負けて、負けて、負けた悔しさを知っている子は、
本当に勝つ喜びを知っていたり、
負ける悔しさを知っているので、
次のステップに切りかえることができる。
今の社会はそういう人を要求しています。
確実に自分が変わるということを伝えていかなければいけない。
現場に出ると、耐えられない選手がほとんどです。
試合が1点入った、あるいはレースで1秒負けた、一歩下がった。
ああおれだめかな、
ああこの試合はまた負けかなというふうになってしまって、
一度負け癖がついてしまっていると、
途中で心を切りかえることができない。
そういう訓練が必要なんです。
それがコミュニケーションです。
ここまでできたんだからもう一歩やろうよとか、
ここまでできたんだから、あと少しじゃない。
富士山もそうです、7分目、8分目まで行って、初めて、
さあここからスタートだと。
その切りかえができるのは負けた経験のある子、
つらい思いをした経験のある子、逆境に立ったことのある人だけです、
今の社会の中でもそうです。
倒産をした会社の社長、
あるいは夜逃げをした経験のある方という方のほうが強いです。
すべて順風に来ていた方が、
一回つまずくと一家心中をしたり、40、50で自殺をしてしまったりします。
話し合いが持てず、自分の殻に入って、
もう二度とだめなんだという、
乗り越える能力のない人はみずから命を絶ってしまいます。
スポーツの勝ち負けは人生の疑似体験なんです。
そして、その疑似体験の中で、
体力向上や、フィジカル、メンタルの向上をさせておくことで、
逆境や負けた経験、つらい思い、
それを疑似体験として自分の中に取り込んで、
実際の社会生活でももうちょっとできるかな、
八分目まで来たから切りかえようというふうに切りかえさせる。
そういうトレーナーと選手と、
あるいは指導員の方と選手と、
先輩と後輩という形でコミュニケーションをとっていくことが、
これから大事になってきます。
復帰に対して大事になっていくと思います。
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