トレーナーからの健康生活 全5部
  第4部 「勝負の世界は人生の縮図」
        ナビスポーツアカデミー代表 スポーツトレーナー 櫻井優司氏


 すべての選手は、試合に参加したい、ゲームに参加したい、
 競争に参加したいということでスタートしています。
 なぜか。人間の体、人間というのは競争する、競い合う、
 戦い合うということで鍛えられていきます。
 負ける悔しさ、つらさを知っている人のほうが精神構造は強くなります。
 一度も負けたことがない、一度も怒られたことがない、
 いい子、いい子、いつでもいい子だよと言われている人は、
 1回つまずくとゴロゴロゴロゴロ、
 二度と立ち上がれなくなる。
 何度も何度も負けて、負けて、負けた悔しさを知っている子は、
 本当に勝つ喜びを知っていたり、
 負ける悔しさを知っているので、
 次のステップに切りかえることができる。
 今の社会はそういう人を要求しています。

 確実に自分が変わるということを伝えていかなければいけない。
 現場に出ると、耐えられない選手がほとんどです。
 試合が1点入った、あるいはレースで1秒負けた、一歩下がった。
 ああおれだめかな、
 ああこの試合はまた負けかなというふうになってしまって、
 一度負け癖がついてしまっていると、
 途中で心を切りかえることができない。
 そういう訓練が必要なんです。
 それがコミュニケーションです。
 ここまでできたんだからもう一歩やろうよとか、
 ここまでできたんだから、あと少しじゃない。
 富士山もそうです、7分目、8分目まで行って、初めて、
 さあここからスタートだと。
 その切りかえができるのは負けた経験のある子、
 つらい思いをした経験のある子、逆境に立ったことのある人だけです、
 今の社会の中でもそうです。
 倒産をした会社の社長、
 あるいは夜逃げをした経験のある方という方のほうが強いです。
 すべて順風に来ていた方が、
 一回つまずくと一家心中をしたり、40、50で自殺をしてしまったりします。 
 話し合いが持てず、自分の殻に入って、
 もう二度とだめなんだという、
 乗り越える能力のない人はみずから命を絶ってしまいます。

 スポーツの勝ち負けは人生の疑似体験なんです。
 そして、その疑似体験の中で、
 体力向上や、フィジカル、メンタルの向上をさせておくことで、
 逆境や負けた経験、つらい思い、
 それを疑似体験として自分の中に取り込んで、
 実際の社会生活でももうちょっとできるかな、
 八分目まで来たから切りかえようというふうに切りかえさせる。
 そういうトレーナーと選手と、
 あるいは指導員の方と選手と、
 先輩と後輩という形でコミュニケーションをとっていくことが、
 これから大事になってきます。
 復帰に対して大事になっていくと思います。


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