『完成されたホメオパシーシステムとしてのバッチフラワー』
  第三部
        新逗子クリニック 院長 石川眞樹夫先生


 私は今回の三部構成のコラムのタイトルを、
 当初は『完成されたホメオパシーシステムとしての
 バッチフラワーレメディー』として書き始めましたが、
 このタイトルは
 『完成されたセルフヘルプとしてのバッチフラワーレメディー』
 としたほうが良いでしょう。

 バッチフラワーレメディーとホメオパシーは、
 ともに自然物をレメディーの原材料として用いており、
 またそのレメディーは物質としての分析では、
 何の成分も含んでいない「水」のようなものである点が共通しています。
 そしてこれら2つの治療法は、
 どちらも疾患の原因となる、
 人間の感情と精神のレベルに対して働きかける治療法でもあります。

 一方、両者を比較して大きく異なる点は、
 ホメオパシーが体の症状も目安にしてレメディーを選択するのに対し、
 バッチフラワーレメディーでは、
 感情状態だけを目安にして、身体症状をレメディー選択の目安にしない点です。
 この違いが、バッチフラワーレメディーをして
 『セルフヘルプのシステム』たることを可能にしています。
 自分の感情状態なら、
 自己省察の訓練を少し積めば、
 血液検査や血圧測定をしなくても誰でも自覚することが可能だからです。

 具体的に考えてみましょう。
 たとえば『発熱症状』を生じる疾患、
 というだけでは数百の疾患が可能性のある原因リストにあがります。
 その一方、『症状』を生じる原因に関して言えば、
 たとえば『下痢』については「腐敗した食物」が原因で生じる下痢もあれば、
 「極度の精神的ストレス」が原因で生じる下痢もあり、
 同じ『症状』が生じていても、
 その原因が全く異なることはしばしば見受けられます。
 このような事情が「感情状態」と「精神状態」だけでなく、
 『身体症状』をも配慮してレメディーを選択するホメオパシーに、
 深さと難しさを加えています。

 私は医者としての臨床経験から『治癒と回復の原則』を
 『疾患即治癒』である排泄のプロセスとして、
 また『疾患形成のプロセス』を『非自己との
 誤った同一化=自己矛盾の形成』として理解しています。

 バッチフラワーレメディーは『精神と感情の状態』に焦点をあわせて
 選択され、そのレベルにおける「自己像の矛盾」である
 「非自己(ネガティブな感情状態)との同一化」を解消し、
 体の病気が発生する前に
 その原因を解消する働きを示します。
 また、すでに生じた疾患についてはこの作用により、
 治癒回復を穏やかに促します。
 これに対して、ホメオパシーでは、
 レメディーの『適切かつ最善の選択』がなされない場合、
 身体症状にまで具象化したエネルギーのすべてを
 存在の微細レベルに戻すことや
 中和することができないために、
 かえって複雑な症状を引き起こしてしまう可能性が出現します。

 『安全なセルフヘルプシステムとしてのバッチフラワーレメディー』
 を適切に理解した時に、
 ホメオパシーの副作用を減らして、
 これをセルフヘルプシステムに近づけるための示唆を得ることが出来ます。

 具体的には以下のような事柄が考えられるでしょう。
 1)「身体症状」をレメディー選択の指標にする場合も
 「感情状態」を指標にする場合も、
 必ず『患者さん自身が自己の問題として自覚した部分だけ』を
 指標にするように心がけ、
 患者さん自身の回復のペースを尊重する。
 (自覚によるタマネギの皮むき)

 2)身体の症状(痛み、発赤、発熱など)に指標を定めるなら、
 あくまで身体症状を中心的な指標にする。
 もしも感情状態、精神状態を指標にするなら、
 やはりこのレベルを中心的な指標にし、
 身体症状と感情状態の両方を無自覚に同じレベルの指標にしない。
 (対象レベルの意識化により、自己認識がより明瞭になり、
 回復反応の引き金を自分でひくことが可能になる。)

 3)バッチフラワーレメディーのように、
 穏やかな回復をはかろうとする場合には、
 ホメオパシーのレメディー選択においても
 原則的に『自覚された感情状態や性格』だけを
 レメディー選択の指標として用いる。
 (これにより身体症状はそのままとされ、
 排泄反応を生じている体の知恵が阻害されない。
 また、回復のスピードも患者さんの許容範囲にとどまる。)

 いかなる疾患も、
 これを「排泄浄化のプロセス」として理解するなら、
 症候を無理に変化させたり、
 表面の問題を解決しない状態のまま、
 深いレベルの問題を引きずり出したりしてはいけないと推察出来ます。
 自然で確実な回復のプロセスは常に
 『症候の自覚』からはじまり、
 『感情的レベルと肉体的レベルの回復が、
 自覚的な変化に従う』形で生じます。
 バッチフラワーレメディーが直接感情に働きかける場合でも、
 このレメディーを自分のために用いるという意識的な選択が
 第一にあるのです。
 そして、感情レベルでのエネルギーの混乱が消失するに従い、
 その混乱の物質的な結実であった身体疾患も回復します。
 この「自覚」と「回復の順序」はとても大切です。
 ホメオパシーにおいても、
 このプロセスを維持する方向でレメディーが選択されるべきであると
 私は考えます。
 つまり『セルフチョイスとセルフプロセスの尊重』です。

 バッチフラワーレメディーは、
 感情状態だけを指標にして選ばれ、用いられます。
 一般の医療機関を受診する人に対しては、
 身体症状に対してほとんど注意を向けない
 バッチフラワーレメディーの方法は理解しがたく、
 取りかかりにくいものかもしれません。
 これに対してホメオパシーは、身体症状をも指標としながら、
 より深いレベルに作用が及ぶという利点があります。
 そして、身体症状に悩む人は、それを意識していない場合でも、
 ほとんどが精神感情のレベルに何らかの問題を抱えています。
 これからの医療の現場では、
 ホメオパシーとバッチフラワーレメディーが
 両方の長所を生かしながら助け合ってゆくシステムが
 構築可能になるでしょう。

 人間が病を得る最初の一歩は、
 自分らしさの喪失、統一的な自己の喪失、にあります。
 無意識に自分本来のありかたと矛盾する考えを受け入れる事、
 自分の肉体に相応しくない食事を摂り続ける事。
 親や教師に押し付けられた「偽りの義務感」などにより、
 自分に対して不正直な行動をとり、
 自分の中に相矛盾する欲求を保つ事。
 これらすべてが自己の統一性を破壊し、
 私たちが個人として統一され、
 ひいては自然と他者と調和協調して生きる、
 その可能性を失わせます。
 私たちは、大自然の一部として、
 また人間らしい創造的な存在として生きる事で、
 はじめて健康になり、喜びにあふれたあり方を経験出来ます。
 そして人間らしさの本質は、常に自分らしくあり、
 『自己選択によって目覚めて生きる事』にあります。

 『自己選択によって目覚めて生きる事』の基本が
 『何をどのように食べるか』を意識する事によって養われます。
 天地と調和した存在、
 「すべての生命によって支えられつつ、
 同時にすべての命を活かす存在として生きる」という理想が、
 正しい食事の心がけから始まります。
 「目覚めていようとする心」
 「自分にも、他の生命にも優しくありたいと願う心」を
 バッチフラワーレメディーは助けてくれます。
 過去の「間違った想いと食事に由来する症状」を
 ホメオパシーは消し去ってくれます。
 食事を正しく整え、想いを正し、
 バッチフラワーレメディーとホメオパシーの助けを借りる時、
 私たちは「知情意」を御して『本来の自己』に従いゆくことが出来るでしょう。


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