マクロビオティックと和解する方法 
 第3回:素直に反応する体 久司マクロ、この不思議なもの
 増田忠士 氏


 Googleで調べると、西野塾にも公式ホームぺージが出来ていました。
 私が通っていた10年前と月謝が同じでした。
 懐かしさのあまり見入ってしまいました。

○素直に反応する体

 さて、西野流呼吸法での体験で、
 自分の体内にある未知なる部分を実感できました。
 これが、私に不思議なもの、
 つまり、まだ科学的に解明されていないものを受け入れる素地を作りました。
 少々怪しげなものでも大丈夫、という心の態勢が出来ました。

 で、久司先生の講演ビデオを観ました。
 予想をはるかに超えて、怪しげでした。
 だからこそ、猛烈な興味がわきました。

 その結果、私の反応は二つに分かれました。

 まずは、久司マクロ全体を構造化して理解しようとしました。
 この話は後でします。
 もう一つは、玄米菜食を実践しました。

 カミさんに、玄米菜食を試してみたいと宣言しました。
 彼女は、どこかで「パフ玄米」というものを見つけて買ってきました。

 食べてみましたが、まずかった!

 ビデオの中に、マクロビオティックの総本山である
 日本CI協会の電話番号がありましたので、連絡をして、
 参考書リストを取り寄せました。
 料理本を一山買って、カミさんに渡しました。

 玄米菜食のレシピを見た彼女は、
 「今まで蓄積した私の料理のノウハウを捨てろと言うの?」と反発。

 しかも、パフ玄米での玄米初体験が最悪。
 夫婦関係も最悪。

 ある人から、玄米酵素のエコロビルにある
 自然食レストラン「元氣亭」が美味しいという話を聞きつけ、
 ランチを食べに、夫婦でJR両国駅まで遠出しました。

 それを食べたカミさんは、玄米菜食もやり方によっては
 美味しいことを納得したらしく、レシピ本を見ながら、
 いろいろと料理を作ってくれました。

 その結果、体重がみるみる減り、職場で後輩から
 「増田さんがどんどん細くなる。このまま消えるのでは?」と心配されました。
 これは大袈裟な表現で、体重に関して言えば、
 70キロを少し超えていた体重が65キロくらいになっただけです。

 私も疑心暗鬼でしたから、
 肉・魚・卵・牛乳・乳製品・砂糖・果物を食べないと、
 きっと栄養失調になってへたばるだろうと「期待」していました。

 ところが、どっこい。その期待は見事に裏切られました。

 体が軽い。
 体重が減ったのだから当たり前ですが、
 やせ細ったのとは明らかに違います。

 夏、残業帰り、疲れきっているはず。
 しかし、いつもならハァハァとあえいでいた急な坂道をグイグイ登れる。

 朝、目が覚めても布団の中でぐずぐずするのが楽しみだった私が、
 バネ仕掛けの人形のように飛び起きる。
 そうしないではいられない。

 まずは、長年の肩凝りがウソのように消えた。
 一生付き合わなければいけないとあきらめていた偏頭痛が消えてしまう。
 西野流呼吸法で対症療法的に治していたギックリ腰も、すっかり消えた。

 こんなことって、あり?

 もっとも、玄米は食べなかったものの、やせ形で、
 それまでの副食がほとんどマクロ的だったカミさんは、
 玄米食に変えても、何の変化もなし。
 数年前から始まった花粉症が治るからと、彼女にOKさせた玄米でしたが、
 まったく治りませんでした。

 しかし、私の体には想像を超える反応がありました。

 身体の中を高原の爽やかな風がいつも吹いている実感。
 これが本当の健康なんだ。
 いままでは、健康と病気の中間状態「未病」だったんだ。

 それと、いろいろな発見がありました。

 当時はサラリーマンでしたから、毎日、ワイシャツを着ます。
 一日で、襟や袖口が黒くなっていたのが、汚れなくなりました。

 風呂に入った後でお湯を見ると、
 細かい垢のようなものがたくさん浮かんでいたのが、なくなりました。

 多分、消化器系で排泄できないものが、首筋や手首、
 それに全身から排泄され、それがワイシャツを汚し、
 風呂のお湯を汚くしていたのでしょう。

 ワイシャツと風呂の汚れがなくなったことはカミさんを喜ばせ、
 玄米菜食を継続することができました。


○久司マクロ、この不思議なもの

 肉・魚・卵・牛乳・乳製品・砂糖・果物が体に良くない。
 玄米菜食で十分、いや、それ以上にうまくやっていける。

 そのことは、自分の体の反応で確認できました。

 ところが、久司マクロはそれだけではない。
 私を満足させた、理屈がありました。
 しかし、これを納得するのはなかなか難しい。

 例えば、このメルマガで紹介され、進行中の久司先生の「真健康セミナー」メニューは、
 第1回が「健康の確立」で、これは分かりやすい。
 第2回の「心の幸せ」も、体が健康になれば心も健康になる、と納得できる。
 しかし、第3回の「愛の展開」や、
 続く「平和の実現」「意識の進化」「新しい世界」「生命の果てしない旅」となると、
 一筋縄ではいかない。

 マクロビオティックの大原則は、「身土不二」と「一物全体」。

 わたしたちは、相手の話を自分勝手に編集して受け入れる生き物です。
 久司先生の話も、自分に都合の良い部分だけをつまみ食いしかねない。

 玄米と野菜を食べることだけが、久司先生の主張ではありません。

 最近、テレビの情報番組で、
 ハリウッド女優がマクロビオティックを実践して、
 細身のスタイルを維持していると紹介していますが、
 それは久司マクロからすればごくごく一部の話。

 自分が受け入れられるところだけをつまみ食いするのは、
 玄米を精製して白米を食べるのと同じ行為。

 「一物全体」。久司マクロも丸ごと食べましょう。

 とはいえ、現代の常識人には久司先生の話を丸ごと飲み込むのは困難。

 そこで、私は自分の為に、久司ビデオから、
 9時間に及ぶお話のすべてを書き起こしました。
 そこから、「現代人である自分がどう久司理論を理解すれば良いか」という
 問題意識で要点をピックアップしました。

 418項目にわたる抜き書きです。
 それから図解を作りました。

 このことが、後に久司先生の『マクロビオティック入門』の
 文・構成を担当することにつながるのですが、
 そのときはそんなことは夢にも思いませんでした。
 ビデオを観たのが1995年2月、
 本の仕事をすることになったのが1997年2ですから。

 私は、混沌とした情報から秩序ある理論を導き出すKJ法が得意です。
 KJ図解で全体を構造化することで、久司マクロの全体像が見えてきました。

 なぜ、久司先生の話が受け入れにくいかと言えば、
 それは現代に対する挑戦だからです。
 ここが、久司マクロの不思議なところです。
 なぜ、そこまで言い切れるのか?

 便利極まりない、楽しく生きられる現代に対して、
 その対極のネガティブな面を示して、批判的な主張をする人はたくさんいます。
 私はそうした人が書いた本もいろいろと読みました。

 しかし、そういう人たちも、
 「でも、何とか現代と折り合って生きよう」が結論になっています。

 ところが、久司先生のお話の本質は「現代の否定」あるいは「近代の否定」です。
 ここまで言い切った人を私は知りません。

 久司先生の前にも、桜沢如一という巨人がいながら、
 どうしてマクロビオティックの普及が挫折したかといえば、
 時代と逆行していたからです。
 あるいは、時代がマクロビオティックに逆行したからです。

 今、マクロビオティックが注目されているのは、健康ブームの中で
 「体に良い」という側面だけ。
 痩せられる、アトピーが治る、便秘が治る、病気が治るという理由が大半です。

 マクロビオティックが理解されようとはしていません。
 少し調べると、桜沢マクロビオティックが歴史から消されていることは明白です。
 現代は、マクロビオティックと和解していません。

 では、現代人にとって「マクロビオティックと和解する方法」とは何でしょう?

 それは、科学と非科学を超えた視点を持つことです。
 この二つを対立させないで結びつけること。
 もっと高い視点に立つこと。

 私の場合、西野流呼吸法での経験が役立ちました。
 玄米菜食を実践して得られた自分の体の反応が役立ちました。
 KJ法で図解したことが役立ちました。

 この三つは、私の不思議体験です。
 その後、マクロビオティック関連書の執筆を何冊もすることになったのも、
 私にとっては不思議体験でした。

 さて、このコラムは一人が最大3回なので、これ以上語ることはできません。
 このメルマガに、別の枠を設けてもらって、
 今までの導入に続く本格的な「マクロビオティックと和解する方法」を
 連載するつもりでいます。

 ディープなマクロビアンたちとのお付き合いを通じてのウォッチングも折り込みながら、
 楽しく語ってみたいと考えています。

 ところで、私の髪がどうなったと思いますか?

 40代初めにどんどんと抜け毛が増え、
 分け目の部分が特に薄くなり、全体的に地肌が見えていました。
 ところが、50歳を何歳も過ぎた今、確実に髪が増えました
 マクロビオティックは、ハゲにも効くんだ!!!

 また、髪の心配をしだした頃には、顔のシミも気になっていましたが、
 これも出来たものは薄くなり、その後、増えることはありませんでした。
 証明することは出来ませんが、多分、玄米菜食のお陰です。

 数年前からは、それまでの厳密な玄米菜食は止めて、
 五分づき米に野菜中心のメニューに変えました。
 まったく効果もなく、玄米はやはり美味しくないという
 カミさんと折り合いをつけるためです。
 夫婦仲良くが一番ですからね。
 それは久司マクロの教えでもあります。
 会食する際は、普通食の皆さんと合わせて何でも食べるようにしています。
 みんな仲良くが久司マクロの教えですからね。

 その結果、体重が少し増え、
 体の中を高原の爽やかな風が吹いている感じはなくなりました。
 でも、夫婦共に外観上の若さと健康は保っていると思います。


 現在久司先生の講演DVD販売中。
 詳しくはこちら

 両国エコロビル「元気亭」にて
 6月12日(土)第17回 真健康実践勉強会&自然食食事会。




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